- 怪我
同時に二か所の骨折
同時に二か所以上の骨折
怪我をした際に、二か所を同時に骨折することを二重骨折とか複数骨折といいます。
二か所以上の骨折は、交通事故や転落などのかなり強い外力が加わった場合に発生しますが、今回は足を捻っただけで二か所を骨折した症例です。
足を捻じっての二か所以上の骨折は、足関節の脱臼骨折などで生じる三果部骨折といって腓骨や脛骨が骨折することがあります。
三果部骨折(コットン骨折)
足を捻じることによって、腓骨(外果)と脛骨(内果)と脛骨関節面の後縁か前縁のいずれかの三か所での骨折をいいます。
距骨は不全脱臼して脱臼骨折となり、これはもう整骨院では手の施しようがなく医科での手術が必要となります。
外果と第5中足骨の同時骨折
上記のように、足関節を捻じっての二か所以上の骨折は三果部骨折と言われ医科での手術が必要ですが、今回は腓骨下端の外果と第5中足骨基部の同時裂離骨折の患者さんが急患で見えました。この骨折は、十分整骨院での治療が可能で、手術をしなくても治すことが出来ます。
手術しなくても治るのであれば、まずは非観血的療法(手術以外の治療)を第一に考えるべきです。
それは、手術というものは必ずリスクが生じるからです。
手術によるリスクとして麻酔による身体のダメージや創部からの感染症、血栓の発生などで、昔は切りたがる医師も多かったですが、現在はなるべく手術しない方向でまずはやっていく医師が増えました。
そういうこともあり、整骨院での非観血的療法で対応可能か、医科へ送るべきか判断しており、今回の患者さんは当院で手術をせずに治療をしていく判断をしました。
症状として同骨折部に圧痛が顕著で、外果周辺から足背、足趾にかけての腫脹が顕著です。
このレントゲンは、受傷後1日経過したものですが、もう既に両方転位(骨と骨が離れている)しておりますので、今後1週間から2週間で更に転位してくることが予測できます。
予後として、外果下端部の裂離骨折は、骨癒合が出来なくても踵腓靭帯の機能が今後期待できなくなり、足関節の軽度の不安定性が出現しますが手術はせずにそのままにしておきます。この場合は、サポーターやリハビリで対応していくこととなります。
しかし第5中足骨基部の骨折は、今後骨癒合しないと手術が必要となります。
そのことをインフォームドコンセントして、治療開始としました。
Ottawa ankle rule
やはり患者さんは足が骨折していても必ず「足を捻挫した」と言って来院されます。
それは、確かに足を捻じって痛めているからそう言ってきますが、ここで患者さんの話を鵜呑みにせずに冷静に隠れた骨折がないか判断するのが柔道整復師です。
そこでレントゲンが撮れない整骨院では、Ottawa ankle ruleというもので我々は判断します。
この患者さんも、腓骨外果下端と第5中足骨基部への圧痛が顕著で、エコー検査上も骨折が示唆されたため提携医へレントゲン依頼しました。
足を捻じると、高頻度で骨折が見られますので必ず捻挫と過信せずに整形外科か整骨院を受診するようにお願いします。
整骨院で骨折が見落とされて、痛みを我慢して捻挫の治療を続けていて、痛みが取れないためレントゲンを撮ったら骨折が判明してその時期には手遅れとなり、手術で固定するしか治せないってことも多いです。
近年、整骨院は乱立していますが、骨折や脱臼を診た経験が少ない柔道整復師の開業が目立っております。
多店舗展開していて、保険外での矯正やマッサージに力を入れている若い柔道整復師がいるような整骨院は特に注意が必要です。
痛みがなかなか引かないのに、エコー設備のない整骨院やレントゲンの依頼をしないような整骨院も注意が必要です。
☆本日も皆さんの健康と幸せを☆
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