- 肩の痛み
肩の痛みには様々な原因があります!腹筋や腕のしびれが原因の場合も
腹筋の筋緊張が原因でおきた肩関節痛
本日は、腹筋の筋緊張が原因でおきた肩関節痛についてです。
この患者さんが来院された際にお話を伺っていると、腹筋運動を最近よくやるようになったということで直ぐに外腹斜筋から前鋸筋へと筋緊張が波及して肩甲骨の機能障害へと繋がり肩関節に痛みが出ているんだろうなぁと思い、スパイラルラインという筋膜連結に対して治療を行いました。
結果、すぐに肩関節の挙上時痛が消失しました。前鋸筋は、肋骨から肩甲骨内側縁に付着しており肩甲骨を外転・回旋する筋肉で、肩甲骨が固定された状態では前鋸筋が収縮すると肋骨を挙上させます。外腹斜筋の筋緊張によって肋骨が下方に下がり、それで前鋸筋に伸張反射がおこり筋緊張が亢進して、肩関節を挙上した際に肩甲骨が制限されて痛みが出ていたということです。
ほとんどの膝や肩関節の痛みは、関節内で機械的損傷があり痛みを出していますが、その原因は他にあります。どこかが動かなくなっているからどこかが過剰に動いていたり、身体の遠いところで筋肉が緊張していて筋膜連鎖で違う場所が引っ張られていて痛みが出たりと。。 ☆今日も皆様に「健」康と「幸」せを☆
インピンジメントによる腱や滑液包の炎症
先日おみえになった患者さんですが、肩を挙げた際に痛みでご来院されました。痛みの原因は、インピンジメントによる腱や滑液包の炎症です。よって、肩の理学療法をする。一般的な病院や整骨院ではそうするでしょう。肩しか診ないでしょう。それではいつまで経っても良くならないです。良くならないでしょ?木を見て森を見ずです。原因は、ほぼ肩以外にありますよ。この方は、骨盤の後傾が原因でした。
①骨盤の後傾
↓
②胸椎後彎
↓
③肩甲骨外転・下方回旋(小胸筋や大胸筋前鋸筋、腹筋、棘上筋等の筋緊張亢進)
によって機能障害が出ており、結果、腱板の炎症や肩峰下滑液包の炎症がおきておりました。治療は骨盤の前傾運動から胸椎の伸展、肩甲骨の内転・上方回旋の運動連鎖をおこないました。結果は、直ぐ腕があがるようになりました。
しかし、姿勢は癖がついていますので無意識にまた悪い姿勢になってしまい、肩に負担が掛かります。そのために、通院、自宅でのセルフケアが必須なのです。
肋骨が原因で肩関節が痛くなった方
本日の患者さんは、肋骨が原因で肩関節が痛くなった方です。挙上時や外に向けて腕を挙げた際に、肩が痛む方で多いマルアライメントが、胸椎後彎・下方回旋位固定で、これによる肋骨の後方偏位による肩甲胸郭関節の可動制限が出て、烏口肩峰アーチ部でインピンジメントが起こることがよくあります。これを放置すると、呼吸が浅くなり自然治癒力が低下したり、逆流性食道炎になったり、肋横突関節の炎症で背部痛が出たりと問題が色々生じてきます。
治療としては、
〇 胸椎、肋横突関節のマニピュレーション
〇 胸郭のリリース
〇 肩甲骨上方回旋と内転、後傾の再教育
で終了です。
肩を挙上すると、正常ですと挙上120°位で胸椎の伸展に加え、肋骨の挙上が見られます。肋骨と胸椎はリンクして動きますので胸椎も大事で、リハビリでは最初に胸椎の伸展を誘導し、最後に肋骨の挙上の意識(強制吸気)をさせ肋骨を指で外上方へ操作します。すると、自然と肋骨から肩甲骨・上腕骨に付着している筋も緩んできて、肩甲胸郭関節の機能も改善してきて挙上時の疼痛も消失していきます。
肋骨が機能していない方は、だいたい姿勢が悪く、呼吸が浅い方が多いです。
普段から、このように背中にポールを入れて背筋を伸ばして深呼吸をしながら腕を挙げるようにして胸椎椎間関節や肋横突関節、肩甲胸郭関節の可動域が低下しないように努めましょう。肩関節痛は姿勢が関与していることが多く、治すのに時間が掛かります。適度な刺激や的確な触診と治療方向、正しい解剖学の知識、指導が一体とならないと難治します。同じような症状がある方は、腕を痛みが出る手前まで挙上して深呼吸(胸式呼吸)をしてみて下さい。深呼吸を繰り返していると段々腕が挙がるようになってきます。
肩関節に原因がない肩の痛み
肩関節に原因がない肩の痛みの方がみえました。原因は「頸椎」です。頸椎の変形やヘルニアなどで肩に行く神経が刺激され、炎症し肩関節に放散痛をだします。こういった方は、動かしてもはっきりしない痛みがあり、挙上時に腕神経叢が引っ張られて症状がでるので、肩関節周囲炎と鑑別が必要です。当然、治療は頚部を意識した治療となります。
頸椎以外にも、胸郭出口症候群や心臓症状も肩に出ますので動かしても余り痛くないけど、うずくような痛みは一度医師の診察を受けることをお勧めします。最近、ぎっくり腰の患者様が多くなっております。動く際には、お腹に力を入れて腹圧を高めることを意識してくださいね。
腕のしびれによる肩の痛み
腕のしびれ
先日おみえになった患者さんですが、最初は腕から手指にかけて痺れがあったのですが、最近肩が痛くなってきたと言って来院されました。肩の所見をとると、特に異常はないのですが「でもなんか痛い」と仰っていたので、手の神経学的検査所見を調べるとC5、C6領域に知覚低下や若干筋力低下がみられ、頸椎疾患や胸郭出口症候群の疑いがでてきました。
〇頸椎疾患による手の痺れ
頸椎疾患には、変形性頚椎症や頸椎椎間板ヘルニア、頚髄症、後縦靭帯骨化症(OPLL)などがあり、これらが原因で頸椎で神経を圧迫して背中や腕、手にかけて痺れや痛み、筋力低下をきたします。頸椎から出てくる神経は、後頭部や背中、鎖骨部や腕から指先まで通っております。
ですから、頸椎疾患によって神経が圧迫されて損傷されると腕などに痛みやしびれ、筋力低下をきたすわけですが、状態が軽度のうちは保存療法で治ることが多いです。しかし、長年痛みやしびれを誤魔化しごまかししてきた方の神経は、損傷が酷く手術をしてもなかなか改善しないものです。
最近では、こういった頸椎からきているであろう腕の痺れや痛みに対して、「もやもや血管」が原因ではないかと言われ、カテーテル治療をされている若いDoctorもでてきております。ある一定の効果はあるようです。もし、もやもや血管かどうか診てもらいたいという方がいれば、治療費が安くなるよう(自費診療です)に紹介状をお書きします。
当院は、もやもや血管治療の専門クリニックと提携をしております。
〇胸郭出口症候群
胸郭出口症候群とは、胸郭の上部には頸椎から伸びてきた腕神経叢という神経の束と、鎖骨下動脈、鎖骨下静脈が通っていて、それら神経や血管を筋肉や骨の先天性奇形によって圧迫して腕から手先に痺れや痛み、筋力低下などをきたす症候群です。症状が頸椎疾患と同じなので、鑑別にはライトテスト・モーリーテストなどをして鑑別していきます。
胸郭出口症候群の場合は、頸椎疾患と違い身体のアライメントの調節や筋肉の緊張緩和を施すと症状が比較的軽くなってきます。胸郭出口症候群の各種テストは陰性なので頚椎ヘルニアや頚椎症が示唆されたため一度、医科受診を勧めました。医科では各種検査が行われ、重大な問題がなければ投薬治療で経過観察でしょう。
医科との治療を平行して、当院での症状緩和の施術をしていくとご本人が希望されたので、今後数カ月で良くなると思いますが、良くなる方もいれば症状に変化がなく症状が残ってしまう方も少しいらっしゃいます。そして、何かストレスを発散されると症状が劇的に良くなる症例も沢山診てきました。私はまず、何か好きな事をやったり、愚痴を聞いてもらったり、旅行に行ったりと気分転換を勧めています。
病気にかかったから...と活動や気持ちに制限や抑え込むようなことがあれば症状は良くならないものです。
これには 脳が関与しております。(詳しくは痛みの原因は脳!?で)
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