側弯トレーニング®は、レントゲン画像を確認しカーブのパターンや骨の変形具合、背骨にかかるストレスをきちんと把握し、問診とともにその側弯の原因を追及して、日常生活での姿勢指導や運動指導、側弯トレーニングにて側弯を可能な限り悪化させないために行います。
その専門的な知識を要している施設はまだ数少なく、側弯トレーニングセンター所長の理学療法士である中村尚人先生が普及に努めております。
当院はその養成課程を修了し側弯トレーニング®認定トレーナーを保有している全国でも数少ない施設です。
側弯症とは
脊椎が捻じり(回旋)を伴いながら横にCobb角10°以上曲がる(側屈)脊椎の変形です。骨に変形(楔状変形)がある構築性側弯症と、骨の変形はないが不良姿勢などで椎間板による代償によって側弯を呈する機能性側弯症に分けられます。
構築性の8割が特発性側弯症で、97%が家族性(遺伝子の関与)の要因を持ちます。
その他の要因には、奇形椎、神経筋性の側弯、神経線維腫症、マルファン症候群、脊髄終糸症候群、脊髄空洞症、Chari奇形、心臓術後などあります。
機能性側弯症は、普段の姿勢やスポーツ、脚長差や股関節疾患などに伴う骨盤傾斜などが原因で、代償的に生じた側弯を指します。
側弯症の原因
メラトニンの影響
メラトニンの受容器が椎体にあることが分かり、背骨の成長にも関与していると推測されている。
脚長差
脚長差によって骨盤の傾斜が起こり、脊柱が代償的にバランスを取るように側弯していきます。
大腿骨前捻角
幼少期の割り座、横座りで大腿骨の形状が変化して、歩行時の骨盤の異常回旋によって代償的に側弯が生じていきます。
スポーツの影響
クラシックバレエなどの変則的な骨盤と脊柱の動きが、側弯を生じます。
進行のリスク
【リスク因子】
①椎体の成長速度が急速
②脊柱の剛性が低い、関節弛緩
【進行因子:Progression factor】
Progression factor: Cobb角-(3×Risser grade)/年齢
0.6~1.4 経過観察
1.4~1.6 運動療法の適用
1.6~3.0前後 装具適応
Risser sign;腸骨稜の成熟度
骨盤の腸骨という骨の骨端線の骨化の程度、成長を評価するための指標
身体成長速度のピークが側弯カーブの進行とよく同期し、11歳~14歳が進行しやすく要注意です。
初潮後12ヵ月または身長が止まれば、進行は強くならないと考えられます。
側弯症の治療
①経過観察 ②装具療法 ③手術療法
Cobb角が腰椎部で40°以上、胸椎部45°以上の場合は、手術の適応となります。
しかしながら、手術は背骨を矯正し固定するため回旋を伴う運動は出来なくなりますし、背中に広範囲にメスを入れますので、出来ることなら避けたいですよね。
病院ではCobb角が悪化して20°以上となると装具へと移行しますが、それまでは経過観察です。学校健診などで側弯が疑われた場合、早期から運動療法を取り入れることでCobb角が改善するといった沢山の報告がされ、手術や装具を回避できる可能性があります。
側弯症の評価
身体の状態を把握し、正しく評価をしないと側弯トレーニングは実施できません。
レントゲン
まず骨盤から背骨の状態を確認するために、レントゲンを持参していただき確認します。
側弯トレーニングを正確に行うためには、APEX(頂椎)を確認し、背骨のカーブや椎体の回旋、骨盤や頭部の位置を把握しないと効率的で効果的なトレーニングは出来ません。
前屈 Test
背骨の回旋(ATR)、肋骨の変形度合いを簡易的、客観的に評価します。
アライメント・脚長差
脚長差があると、骨盤や背骨は代償をして側弯症の原因となるのできちんと評価します。
下肢長差が側弯の原因と判断した場合、補高(インソール)を処方します。
Craig‘s test
大腿骨頸部の捻じれを前捻角といい、幼少期の座り方などで変形して固まり、それが原因で歩行時に骨盤の異常回旋が生じて、腰椎が骨盤に連動して回旋と側屈を起こして背骨が側弯していきます。その事実確認、認識のためにもこのテストは必須です。
歩行評価
歩行観察にて、股関節や脚長差などから側弯症が誘発していないか、側弯症が悪化していないか評価して、場合によっては歩行の指導やインソールにて脚長差を補正して側弯症にアプローチしていきます。
側弯症のトレーニング
レントゲンなどの評価をもとに、一人ひとりにあった側弯のトレーニングを実施していきます。
その際に、自宅でも正しくトレーニングができるようにスマホなどで撮影して頂いて結構です。
※運動療法は毎日必ず自宅で行ってください。
ご留意
側弯の運動療法をうけるにあたり、以下の点をご承知ください。
- Cobb角(側弯の度合い)が改善することも見込まれますが、完全に真っ直ぐな状態に戻るというものではありません。装具除去や手術回避など、側弯の程度を悪化させないこと、QOL(生活の質)の維持向上を目標として、ご本人・ご家族・セラピストとで一緒に考えていきます。
- 側弯症の運動療法は、マッサージや背骨への矯正(アジャスト)など受け身のものではなく、ご自身の力で行わなくては何の意味もありません。
- 運動療法の効果は、ご自宅での毎日の継続的なトレーニングが必要ですので、ご家族の協力もお願いしております。そのため、当院通院の際にはご家族の方も同席をお願いします。
- トレーニング内容は、必ずスマホなどで撮影して頂き、間違いないように自宅で実施してください。
初回の持ち物と準備
- 姿勢や背骨の状況を確認しますので、女性は薄手のタイトな服やスポーツブラを着用してきてください。また、全体的に動きやすい服装でお願いいたします。
- レントゲン画像の写真(病院にてスマホできれいに撮影したもので結構です)をご持参ください。
- カメラ若しくはスマートフォン
料金(税込み)
初検料金 | 3,000円(前回の受診から半年以上あいた場合もかかります) |
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施術料金 | 8,800円 |
通院頻度は、初回月は2週後に一度再診して頂き、その後は正しく出来ているようであれば月に一度の通院でいいと思います。
※側弯の程度などで個人差があります。