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不良姿勢からくる膝の痛み

膝の痛みの種類

 

膝の痛みの種類には、膝関節自体の構造の破綻や損傷などによる侵害受容性疼痛と神経由来の神経障害性疼痛とに分かれます。

 

膝の侵害受容性疼痛は、スポーツ外傷や成長時の痛み、変形性膝関節症と膝の痛みの大部分を占めますが、神経由来の神経障害性疼痛は膝の痛みの中では割合は少なく、また見落とされがちです。

 

今回は、神経障害性疼痛による膝の痛みについてです。

 

 

神経障害性疼痛とは?

 

椎間板ヘルニアなどによって神経が圧迫され損傷されて起こる神経痛や、帯状疱疹後神経痛、糖尿病からくる神経症状、閉塞性動脈硬化症などの虚血による痛み、腫瘍などの痛みで感覚神経が障害されて起こる痛みです。

 

また、痛みの信号が出すぎる状態で過敏になり神経に沿って痛みが出たりします。

 

一方、侵害受容性疼痛は骨折や関節リウマチ、変形性膝関節症などで炎症が起こり、発痛物質が出て痛みがでます。

 

 

受診時の所見

 

ご高齢の女性で、SWAY BACKと呼ばれる不良姿勢がみられておりました。

 

患部の左膝の所見は、歩行痛(+) 屈曲拘縮(+) 屈曲時運動痛(+) 脛骨外旋位(+)軽度の腫脹(+) 疼痛部位は膝前面でした。

膝蓋大腿関節のストレステストは陰性で、SWAY BACKによる大腿前面の筋肉の過緊張による膝蓋大腿関節部の損傷など否定され、偽痛風などの所見もみられず、典型的な変形性膝関節症からの侵害受容性疼痛と判断してリハビリにあたりました。

 

リハビリ内容は、膝周囲の筋力増強訓練、屈曲拘縮改善リハビリ、膝蓋下脂肪体や周囲の筋群のリリース、脛骨外旋偏位の改善等です。

 

 

リハビリ1ヶ月後

毎回来られる度に、ペインスケールにて経過を聞きますが変化がなく、医科での治療が必要と判断して医科へ送り、投薬と関節注射で経過観察となり当院でのリハビリは継続です。

 

リハビリ2ヶ月後

医科での2度の関節注射や痛み止めの服用も、毎回痛みが変わらないと通院されます。

おかしいなと思いながら再評価しようと、「膝を曲げてくださーい」っと言うと、スッと曲げられました。

 

ん?

普通は膝関節に問題がある痛みは、痛みでゆっくり恐る恐る曲げるものですが、この患者さんはスッと曲げました。

 

これは変形性膝関節症の所見は外観上はあるけども、今の痛みの原因は炎症による痛みではないなとやっと気付きました。

 

そこで神経障害性疼痛を次に考えました

 

変形性膝関節症による炎症の痛みは、医科でのロキソニンなどの痛み止めで軽減するはずですが、神経障害性疼痛にはロキソニンなどの痛み止めは痛みを軽減させることはできなく無意味なんです。

 

ロキソニンなどの薬は、侵害受容性疼痛に対して炎症を抑えて痛みを軽減させますが、神経障害性疼痛の場合は、神経からの痛みの情報を伝達しないようにして痛みを抑えたり、痛みの伝達経路を抑制するリリカやタリージェなど専用の薬ではないと効果はありません。

 

この患者さんも痛み止めが全く効いておりませんでした。

 

 

大腿神経の絞扼による膝の痛み

 

そこで膝に痛みを出す神経痛は、①腰部椎間板ヘルニアなどで膝周辺が痛くなる神経痛と、②鼠径部での大腿神経の圧迫による大腿から膝にかけての痛みと2通りを考えられました。

そこで注目したのが、この患者さんのSWAY BACKという不良姿勢です。

 

 

SWAY BACKの原因は色々あり、ここでは割愛しますが、重心が前方へ行くことによって股関節が伸展外旋します。

これは、腸腰筋などの筋肉の遠心性収縮が弱いためです。

 

本来の重心は、

 

この図で示した、耳垂-肩峰-大腿骨大転子-膝蓋骨後方-外果が一直線に並びます。

しかし、こちらの患者さんは主に腸腰筋の低下で骨盤が前方偏位を起こしております。

 

そして、前述したようにこういったSWAY BACKの姿勢の場合は、腿の前の大腿四頭筋が過緊張を起こして、膝が常に曲がっていて膝蓋骨と大腿骨の軟骨関節面の圧が上昇して擦れ合い、関節症となって痛みが発生します。

その所見がなかったので、次に考えたのはSWAY BACK姿勢によって腸腰筋は過度の負荷がかかっており、筋肉が肥厚していて鼠径部で大腿神経を圧迫していることが示唆されました。

 

 

鼠径部の解剖

 

 

このようにSWAY BACK姿勢によって、鼠径靭帯と肥厚した腸腰筋によって大腿神経は圧迫を受け、大腿神経領域である大腿部前面や膝関節へ痛みを発生します。

 

 

大腿神経支配領域

 

大腿神経は、鼠径管の筋裂孔を通過すると、筋肉へ行く神経(筋枝)は大腿部の筋肉を動かすように働き知覚を司る神経(感覚枝)は大腿部の知覚を感じる枝を出しその後は伏在神経となり内転筋管(Hunter管)という内側広筋と縫工筋、大内転筋との間で形成されるトンネルを通過して、下腿の内側部へ走行してその領域の知覚を感じるよう働きます。

 

鼠径部で大腿神経が圧迫されると、この感覚枝領域(図の緑の線の部分)に痺れや痛みなどの感覚異常をきたすこととなります。

 

 

 

 

 

 

 

リハビリ内容

 

ベッドの端に寄った状態で背臥位となり、股関節をゆっくり曲げてゆっくり伸ばして股関節を伸ばしていきます。

ゆっくり元に戻すように伸ばすのが要です

 

ゆっくり伸ばすことによって、腸腰筋の遠心性収縮を促し、SWAY BACK姿勢維持のために過緊張を起こして肥厚した腸腰筋を緩めながらも強くしていきます。

 

これを10回行いました。

すると翌日には、あんなに2ヶ月も続いた痛みが半分以下に軽減しました。

 

 


 

このように、変化がない治療はきちんとした評価が出来ておらず、いくら同じ治療を継続していても無意味です。

 

変化がない場合、再評価をして治療内容をそれに合わせて変化して経過を見ていかなくてはならず、それを怠っていては患者さんは時間とお金を無駄に費やしてしまいます。

 

現在痛みなどで通院していても変化がない場合は、病院や治療院を変えて違う先生に評価してもらうべきだと思います。

先生はそれぞれ知識と経験が違いますので、それぞれ違った診方をすることもあると思いますし、違った治療方針をたてると思います。

 

セカンドオピニオンは患者さまの権利です。

 

 

☆本日も皆様の健康と幸せを☆

 

 

 

 

 

 

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