- 腰の痛み
腰の痛みが治らない原因と対処法について
最近20~30代女性のぎっくり腰が急増しております。
ぎっくり腰は急性腰痛症の事で、急に腰が痛くなった状態のことを言います。このぎっくり腰、一週間程で改善されるものから数カ月も治るまでに時間がかかるものまであり、原因もさまざまです。
そこでここでは、腰痛に関することを書いていこうと思います。
腰痛の原因
腰痛の原因はさまざまで、原因別で分類すると、椎間板ヘルニアなど腰部の神経の障害によるもの、脊椎の骨の病気、内臓の病気などの原因を特定できる腰痛と、原因を特定しにくい非特異的腰痛があります。
原因を特定できる腰痛は全体の15%で少なく、残りの85%は非特異的腰痛で、我々柔道整復師や理学療法士、鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師の専門となり施術にあたります。
神経の障害による腰痛
神経の障害による腰痛は、腰部脊柱管狭窄症やすべり症、椎間板ヘルニアなどが原因で腰部の神経を刺激して、損傷させて腰痛を引き起こします。
そして腰部の神経は、脚や臀部、陰部へ神経を出しているのでそれぞれに痛みや痺れ、感覚異常、重度になると残尿感などの膀胱直腸障害を来し、手術が必要となります。
脊椎の骨の病気
脊椎の骨の病気は、最近が骨の中に侵入してきて起こる化膿性脊椎炎や脊髄硬膜外膿腫、癌の転位、圧迫骨折、分離症などがあり、腰痛全体の約1%の患者さんがいると推測されます。
内臓の病気
腰痛全体の約2%は内臓の病気による腰部痛で、慢性膵炎、腎盂腎炎、尿路結石、慢性十二指腸・胃潰瘍、子宮内膜症などで起こります。
非特異的腰痛
筋筋膜性腰痛症や腰椎椎間関節症、仙腸関節機能障害などの、原因を特定するにはレントゲンやMRI画像では難しく、触診や圧痛所見や誘発動作などで確認していきます。
腰部痛の危険度
放置すると危険な腰痛とはどんなもので、症状に特徴はあるのでしょうか。
まず、我々医療従事者が「これは危険だ!」と判断する症状の一つに、「安静時痛」があります。
これは、重い脊椎の病気や内臓の病気からくる腰痛の可能性があり、かなり危険度は高くなります。
⚠ 危険度5
癌(がん)
腰痛を引き起こす癌には、骨の癌、癌の骨転移、膵臓癌、大腸癌、子宮癌、腎臓癌などで、腰痛を診る上で最も最初に排除したい病気です。
その特徴として、安静時の痛み「安静時痛」がみられます。
化膿性脊椎炎
細菌が骨の中に侵入して背骨を化膿させる病気で、進行すると全身に細菌がまわって敗血症を発症して、命に関わることもあります。
これも特徴として「安静時痛」がみられます。
内臓の病気
内臓の病気でみられる腰痛として、十二指腸潰瘍や胃潰瘍、腎盂腎炎などありますが、それらも特徴として「安静時痛」がみられます。
尿路結石のようなのた打ち回るような痛みが腰に出る場合もあれば、胃潰瘍などのように腰部や背部に鈍痛が続くような安静時痛があります。
内臓からくる腰痛を見分けるためには、安静時痛の他に何か内臓の症状がないか問診で注意深く聞き取ります。
例えば急性腎盂腎炎では、腰部に鈍痛があり、随伴して発熱、悪寒戦慄、腎臓に叩打痛、頻尿、排尿不快感、残尿感などの症状がみられます。
また急性膵炎では、悪心や嘔吐、心窩部から左季肋部にかけての痛み、仰向けになると痛みが強くなる、そして腰背部痛がみられます。
胃・十二指腸潰瘍では、腹痛、上腹部膨満感、悪心、嘔吐などの消化器症状に伴って、腰背部痛がみられます。
こういった腰部痛以外の内臓の症状がみられた場合は、整形外科や整骨院ではなく、内科を受診するようにして下さい。
安静時痛がなく、バイタルも問題なく内臓症状もみられない場合は危険度は下がります。
⚠ 危険度4
圧迫骨折
次に危険なものは、高齢者に多い骨粗鬆症によってスカスカになった骨の状態で尻もちをついたり、くしゃみをしたり、または段々と背中が曲がってくると椎体の「圧迫骨折」を起こします。
70歳以降の女性で、骨粗鬆症の現病歴があり腰と背中の境目付近が痛いと言って来られた方は、まず圧迫骨折がないか鑑別します。
鑑別方法としてレントゲン撮影が有効ですが、レントゲン設備もなく撮影ができない我々柔道整復師は何で鑑別するかというと、骨粗鬆症の有無や背中の曲がり具合の他に「叩打痛」をみて判断します。
背中の突起(棘突起)から、打腱槌などで叩打して痛みが出現するかどうかで大体判断がつきます。
圧迫骨折は長期的な安静が必要になり、廃用症候群になってADLが低下する恐れがありますので、60代の女性は早いうちから骨密度の検査・治療を整形外科ですることをお勧めします。
⚠ 危険度3
お尻や脚にしびれや痛みがあり、長い距離が歩けなかったり(間欠性跛行)、よく脚をつまずく症状がある腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症は危険度3です。
腰椎椎間板ヘルニア
椎間板という背骨と背骨の間にあるクッションが損傷されて、中にある髄核と呼ばれるゼリー状のものが外に飛び出してきて、その外後方を通っている神経を刺激して腰痛や臀部から足先にかけての痛みや痺れ、重症化すると神経麻痺をきたす病気です。
特徴としては、前屈をすると腰痛が出現したり、臀部や下肢の症状が強くなります。
腰椎の4番目と5番目の間の神経がやられると、足関節を背屈(上にあげる)できなくなり、歩行しているとよくつまずくようになります(ドロップフット)。これは運動麻痺で手術の適応となります。
腰部脊柱管狭窄症
脊柱管狭窄症は、腰椎の椎体の後方にある脊柱管とよばれるトンネル状の神経の通り道が、辷り症(すべりしょう)や広範囲の椎間板ヘルニア、脊柱管周囲の靭帯などの周囲組織の肥厚などで脊柱管が狭くなり、神経を圧迫して腰部痛や臀部、脚へ痛みや痺れ、歩いていると足が痛くなってきて少し休んで腰を前屈みにすればまた歩けるようになるという間欠性跛行、重度になると残尿感や失禁などといった膀胱直腸障害が出現してきます。
手術をしないで保存的にリハビリなどで治療を優先していきますが、じっとしていられないぐらいの脚への痛みや膀胱直腸障害がみられれば手術を検討します。
ここからは私の私見ですが、私は症状が酷くなる前(神経の損傷が軽度のうち)に手術をするべきだと思っています。
重くなって、高齢になってから手術をしても予後が良くない方々ばかりを見てきています。
脊柱管狭窄症は、保存療法で病態が解剖学的に改善される訳ではないのです。日に日に患部は悪化していきます。
ですから、私は脊柱管狭窄症になって医師より「手術しましょう」と言われたら、真っ先に「宜しくお願いします」というでしょう。
先延ばしにして、セカンドオピニオンや怪しい整体など受ける時間があったら、早く手術をして先の安心と、痛みとおさらばすることを選びます。
⚠ 危険度2
上記の病気の症状で、臀部や下肢への神経痛や痺れはあるが間欠性跛行や運動麻痺がない腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、辷り症(すべりしょう)などです。
これらの症状は、医科でのブロック注射や投薬治療、保存療法で軽快します。
⚠ 危険度1
画像診断ができなく、神経が侵されることがない腰痛は、「動かした時だけに痛みがでる」特徴があります。
その原因は、腰椎椎間関節、仙腸関節、終板の障害、筋・筋膜の問題、心因性の腰痛があります。
椎間関節性腰痛
椎間関節は、腰椎の後方に位置し、上下の腰椎を繋いでいる関節です。
反り腰や反ることが多い方など、ここの関節に炎症が起きやすく、支配神経が脊髄神経後枝内側枝で、同じ支配神経の多裂筋へ放散痛を出すことがあり、腰痛以外にも仙骨や尾骨の辺りが痛いという方もいます。
仙腸関節性腰痛
仙腸関節は、骨盤の仙骨と腸骨で作られる関節です。
強靭な靭帯で守られれていて、激しい衝撃を吸収する役目を担っています。
仙腸関節に炎症や機能障害が生じると、腰痛の原因となります。
治療法としては、カイロプラクティック技術による機能改善が効果的です。
終板の障害
椎間板が接している腰椎の椎体の部分を「終板」といいます。
終板には神経や血管が多く通っていますので、ここに細菌が感染したり、アミロイドという物質が沈着してむくみが生じることで痛みがでると言われております。
症状としては、前かがみの動作で椎間板や終板にストレスをかけると腰痛が出現しますが、臀部から脚にかけての痛みや痺れが出ないことが特徴です。
筋・筋膜性腰痛
腰痛の原因となる筋肉は、主に多裂筋と腸腰筋と腰方形筋、広背筋です。
それぞれ筋スパズムといって過緊張を起こしたり、機能低下・筋力低下で負荷が掛かって何か動作をしたときに痛みが出てきます。
治療法としては、過緊張を起こしている場合にはマッサージや神経反射を利用して筋緊張を緩和し、能力低下がある場合は運動療法を行って腰痛を改善していきます。
心因的要因の腰痛
痛みを感じているのは全て脳が命令を出しています。
脳の側坐核という部分から、痛みを抑える物質が出ていますが、ストレスや環境の変化などで側坐核からの痛みを抑える物質が出なくなってきます。
そうするといつまで経っても腰痛は改善されません。
このストレス社会で、うつ病などの心の病とこういった心因性腰痛は非常に多く、併発している人が多く見られます。
こういった方の慢性腰痛は、旅行に行ったり、好きなスポーツなどを楽しむと症状が改善されます。
いかがだったでしょうか?
腰痛といっても原因はさまざまで、それぞれ治療法が異なります。
安静時痛や臀部から脚にかけての神経症状がなければ、念のために一度整形外科を受診して悪いものでないか診てもらい、その後に異常がなければ適度な運動やストレッチや整体などで身体をケアしてみて下さい。
腰は「月(にくづき)」に「要(かなめ)」と書くように、とても重要な場所で、痛めてしまうと重心点も近くにある為、動けなくなったりします。
酷くなる前に、早期の受診をお勧めします。
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