- 側弯症
側弯症
側弯症とは?
脊椎が捻じり(回旋)を伴いながら横にCobb角10°以上曲がる(側屈)変形を、側弯症といいます。
骨に変形のある構築性側弯症と、骨に変形はないが、逃避姿勢として見かけ上起こる機能性側弯症に分類されます。
構築性側弯症
構築性側弯症の約8割が遺伝子の関与が疑われる特発性側弯症です。
特発性側弯症の発症率は人口の2~3%でCobb角30°を超える場合、男性に比べて女性に約7倍多くみられます。
多くは座屈現象を起こし椎体の変形を伴います。(変形は成長抑制/骨吸収(Hueter‐Volkmann則)と骨形成(Wolff則)のバランスの破綻によると言われております。
機能性側弯症
普段の不良姿勢やスポーツなど、今までの生活習慣によるものや、脚長差や股関節疾患などによる骨盤傾斜など、何らかの原因により代償的に生じた側弯。
多くは椎間板による代償で椎体(骨)の変形を伴わない。
側弯症の要因
①多因子遺伝
遺伝子の影響として、一卵性双生児の73%が二人とも発症し、二卵性双生児では36%と言われています。
特発性側弯症の97%が家族性の要因を持ちます。
特発性に関しては、遺伝要因だけでは説明がつかず、それ以外の要因で多因子遺伝性疾患と捉えられています。
②メラトニンの影響
メラトニン欠乏による椎体の後方要素の成熟抑制が関与していると言われています。
羽化後5日のヒヨコの松果体を除去すると100%側弯症を発症します。また、除去してもメラトニンを投与すると発症しないです。
年間Cobb角10°以上の進行群の夜間血中メラトニン量は、そうでない群と比べて35%減少していたとの報告があります。
③脚長差
脚の長さが左右差あると、骨盤に傾きを与えて腰椎に側弯を生じます。
脚長差があり、成長期でスポーツなどで過剰な負荷が片方の関節に加わることで、成長骨端軟骨に抑制的に働くことで側弯が起きると考えられています。
成長期であればインソール(補高)で改善することもありますが、成人の場合は眼鏡と一緒で補正するという認識になります。
④大腿骨頸部の前捻角
大腿骨頸部のところは、前方に捻じれていてその角度を前捻角といいます。
正常では25°前後ですが、幼少期の骨の発達段階での割り座などの股関節を内側に捻じって座る癖があった方は前捻角が強くなると考えられています。
前捻角が強いと内股歩行になりますが、それを修正しようとつま先を前に向けて歩いてしまうと、股関節前面の軟部組織が過緊張を起こして歩行時に骨盤を回旋して歩行してしまいます。そうなると骨盤の回旋と同時に腰椎が連動して回旋して側弯の原因となります。
⑤スポーツの影響
スポーツで偏った脊柱の動きを、幼少期から高頻度で長時間すればするほど側弯のリスクが高いです。
クラシックバレエ、バスケットボール、バドミントン、バレーボールなどが発生率が高いと言われています。
側弯症のチェック
側弯症は、医科でのレントゲン検査にて容易に診断されますが、レントゲン以外にも簡易的に検査ができます。
〇頭の傾き
〇左右の肩の高さの違い
〇肩甲骨の内側が浮き出ている
〇骨盤の高さの左右差
〇ウエストラインの左右差
〇肋骨が左右どちらかが後方に出ている
【前屈テスト(背骨の捻じれの確認)】
立った状態で踵、手を合わせて前屈させたときの背部と腰部に隆起(hump)があるかどうか。
側弯症に対する運動療法
脊椎にすべり症や強直などの病変がなければ、積極的に運動療法を実施していきます。
まずは、固まってしまった筋肉や関節、胸郭の柔軟性を確保して、側弯している脊椎を反対方向へカーブするように(オーバーコレクト)矯正・運動療法を行います。
その後、その側弯が軽減した状態で脊椎の安定性を向上する筋肉増強訓練や抗重力伸展活動を行っていきます。
〇重力を考慮する
後方から見て側弯がない正常な真っ直ぐな脊柱は、上から力がかかっても側方にはズレません。
しかし、骨盤の左右高低差や背骨のフラット化などにより背骨の関節が緩くなった状態では、重力によって側方へ背骨はズレていき側弯が生じてきます。
側弯症の場合はとくに、弯曲部分の凹側が重力によって潰れてきますので、抗重力伸展活動(エロンゲーション)を強化していきます。
〇運動療法後の変化
一度の側弯トレーニングで、直後は側弯が軽減します。
症例
しかし、この状態を維持するためには毎日ご自分で側弯トレーニングをして頂く必要があります。
当院で、側弯した背骨を一度改善し、自宅ではそれを維持するために背骨を支える筋肉を強化する側弯トレーニングを実施します。
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